リゾートファンの間ではさほど知名度が高くないパラオも、「ここを知らなきゃダイバーじゃない」と言われて久しいダイビングスポットの王道。“パラオ病"なる言葉まで存在するほど、ダイバーを中毒にしてやまない魔力を発揮し続けているダイビングスポットです。
ダイビングなんてできないよ。そんなハネムーンで訪れるような初心者の方でも大丈夫です。スノーケリングでパラオの海をのぞき、もっと先へ行ってみたくなったら、ぜひ体験ダイビングに参加してみましょう。パラオでの体験ダイビングは単に海の中がすばらしいというだけにとどまりません。まず日本人向けサービスが多いだけに、原則的には日本人、もしくは日本語の得意なスタッフが担当してくれるから言葉の壁は一切なしです。また多くの場合がマンツーマンに近い少人数制なのでプライベート感もたっぷり。船で無人島のビーチまで行くパターンが一般的なので、ロック・アイランドのツアーが同時に味わえ、休憩時間にはリゾート気分にどっぷり浸れるますよ。つまり、一度でパラオのいいところをごっそりと味わえてしまうということです。
パラオの体験ダイビングは1日ツアーが基本。
海況に問題がなければ、コロールから手軽に行ける無人島・ガルメアウスで行うのが定番といえます。コロールからガルメアウスまでは船ですすみます。その間、ロック・アイランドの風景をたっぷり楽しめちゃいます。もちろんマスクからスーツにいたるまで、すべての器材はサービス側で提供・準備してくれますので、水着を着ていく以外、準備することはなにもなし。ランチやドリンクの用意も万全です。
ビーチに上陸してひと休みしたら、日陰でくつろぎながらインストラクターの説明を受けましょう。
ここで教わるのは海中を安全・快適に散歩するための最低限の知識と基本テクニックで、覚えなくてはいけないこと、やらなくてはいけないことは数えるほどしかありません。運動神経や体力に自信のない人や年齢が気になる人でも臆することはないですよ。パラオならではの魚たちがウェルカムレクチャー後、いよいよスーツを着こみ、海へ入ります。
スキューバ器材を装着し、器材を使っての実践的レッスンを受けます。といっても波らしい波もない静かな水中に腰くらいまで浸かり、レギュレーターからの呼吸を試したり、耳抜き確認をする程度。問題がなければそのまま少しずつ沖へ進み、気がついたら水中世界に包まれているという流れです。珊瑚や熱帯の魚たちのカラフルな姿を間近にしているうちに、あっという間に上がる時間が来ます。透明度が高く、真っ白い砂の海底が広がる水中はリラックス度も高く、初ダイブの緊張感や不安感は知らぬ間に払拭されているはず。
1本目のダイビングを終えたらランチタイムです。
おいしいお弁当を食べ終えたら、波打ち際に座って青い海をバックに遊ぶもよし、ヤシの葉陰でうたた寝もよし。休憩時間はリゾートモード全開ですよ。
かくして、パラオならではの時間に浸りきったら、2本目のダイビングがスタートします。1本目とはコースを変え、さらにリラックスしつつパラオの海中の魅力を垣間見られるコースだと思います。2ダイブを満喫してガルメアウスを出るのはだいたい午後2時すぎ。その頃には、ダイビングを本格的に始めてみようという気分になっている確率はきわめて高いはずでしょう!
安全のためにはダイビングサービス選びも大事な要素。
サービスの大半は少人数制で日本人もしくは日本語の話せるガイドが付きますが、ガイドが受け持つ人数が多いサービスもままあります。また、欧米人主体のサービスやクルーズではバディダイブが原則のところもあります。さらにはガイドやボートオペレーターのキャリアもまちまちなのが実情です。
特に初心者の場合は、安さだけに目を奪われることなくサービスの質を見極めたうえでチョイスすることが大切になってきます。パラオでは安全の確保とダイビングならびに自然環境の整備を目標に、通称「ダイビング協議会」と呼ばれる組織が活動を始めているます。現在加盟サービスは数十、横の連携を図りつつパラオのダイビングのレベルアップに努力しています。この組織に加盟しているサービスを選択の目安にするのもよいでしょう。
近年は初心者ダイバーも大勢パラオにやってきますが、パラオは底なしのドロップオフや流れの速いチャネル、あるいは水深の深いケープがメインポイントの、基本的には上級者向きスポットです。
もちろん初心者から安心して潜れるイージーポイントもありますし、ダイビングサービス側でも初心者のケアに長けているので、潮やコース次第ではビギナーがブルー・コーナーに潜ることも充分可能ではあります。ですが、海は刻―刻と変化する場所。不幸にしてダイビングによる死亡事故も、過去何回か起きていることは忘れてはいけません。
パラオの醍醐味を安全に味わいたいならやはり、流れている水中でも自己管理ができる程度のダイビングスキルは少なくとも身につけておくべきでしょう。求められる最たるスキルは中性浮力。ドロップオフでの墜落を避け、浮上時に水深5m前後で行われる安全停止のホバリングをこなすためにも不可欠なスキルだからです。
レベル相応のポイントに潜るブルー・コーナーを筆頭に、パラオには世界中のダイバーが憧れる超人気ポイントがいくつもあります。
ですが、有名だから、大物が見たいからと、実力以上のハードなポイントに潜ろうとするのは危険です。そういうポイントは流れが速かったり潮が変わりやすいなど、それなりのリスクを伴っています。ガイドは各ダイバーの力量と志向、そしてその日のコンディションから総合的に判断してポイント設定をするので、仮に潜りたいポイントに入れなくてもゴリ押しは避けたいところでしょう。自信がなければパスすることも大事な勇気。
当然ながら体調が万全でないときは、ダイビングは見合わせるのが賢者の選択。潜る前日は飲酒を控え、充分に睡眠をとってダイビングに備えることを心がけてくださいね!
パラオではボートでのドリフトダイブが圧倒的に多いです。 また、浮上前には原則として水深5mで安全停止を行います。こうしたダイビングスタイルを経験したことのない人は、日本であらかじめエントリーや浮上方法を練習しておくといいでしょう。ブランクがある場合、初日はビーチダイブやリフレッシュコースなどに参加し、体慣らしをするのもおすすめ。また、ダイビング開始前のブリーフィングは理解できるまでよく聞き、水深やコース取りなどプランに沿って潜ることが鉄則です。